下記事の続きです。
前回の記事で、いくつかの大学院の MBA プログラムを比較した結果、Abitus 経由の University of Massachusetts が、今の私にとって妥当であると判断しました。
大学院 | 業務両立 | オンライン | TOEFL 負荷 | 学費 | 長期履修 | ブランド | 総合点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
重み付け | 2 | 2 | 3 | 2 | 2 | 1 | - |
Harvard University (Extention) | ○ | ○ | X | ○ | ○ | ○ | 9 |
Carnegie Mellon University | ○ | ○ | X | X | ○ | ○ | 7 |
Warwick Business School | ○ | ○ | X | ○ | ○ | ○ | 7 |
The Pennsylvania State University | ○ | ○ | △ | △ | ○ | △ | 9 |
University of Wisconsin | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | △ | 10 |
University of Massachusetts | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | X | 11 |
ただし、必ずしも全ての条件が私にとって最高評価というわけではなく、種々の制約条件を勘案し、メリット・デメリットを考慮した上での最終判断をしたわけですので、そこを記述しなければフェアではありません。
今回は、私にとっての、Abitus 経由の UMass MBA のメリット・デメリットについて述べたいと思います。
構成の関係上、記述内容が社会人 MBA のススメ ③どの大学院を選択したのか? に記載した要件と重複する部分もありますが、本エントリである程度主張を完結できるようにするために敢えてそうしています。シリーズ全体で見たときに冗長な構成となっている旨、ご了承下さい。
メリット
まずは、メリットから。
- 日本で働きながら在宅でアメリカ MBA を習得可能
- 英語学習の負荷低減
- 経営学の学習を優先できる柔軟な英語スコア要件
- GMAT の免除
- Abitus の充実したサポート
- 安価な学費
- 現地キャンパスでの単位取得
- Online プログラムでありながら継続性のあるネットワーキングが可能
日本で働きながら在宅でアメリカ MBA を習得可能
何だかんだ行って、アメリカの MBA プログラムはグローバルでも訴求力があります。UMass MBA プログラムは国際認証である AACSB を取得している上、The Best Online MBA Programs in 2020 - US News でも全米22位と、決して悪くないランキングを叩き出しています。少なくとも教育カリキュラムの質はある程度担保されているでしょう。
しかも、働きながら 100% オンラインで学位取得まで可能です。この時点でも、社会人 MBA のススメ ③どの大学院を選択したのか? で定義した私の要件の大部分をクリアすることになります。
日本の MBA で国際認証を取得したプログラムは少なく、これと同等水準の教育を、働きながら、しかもオンラインで完結させるというのは、決して容易では有りません。
もちろん、英語を使うことがデメリットという方がいらっしゃる可能性も否定できませんが、私にとっては英語のテキストや講義を参考にしながら学びたいという思いがあったので、ここはがっつりメリットとなりました。
英語学習の負荷低減
社会人 MBA のススメ ③どの大学院を選択したのか?でも触れましたが、私は TOEIC 910、TOEFL iBT 93 程度の、ガチの大学院留学組からしたら中途半端としか言いようのない英語力しか持ち合わせていません。
図らずしも、既にスタートアップの取締役という経営サイドのポストに付いてしまった以上、できるだけ効率的に就学したいというインセンティブが最優先に働きました。
もちろん、英語要件が TOEFL iBT 80~90 前後(TOEIC 850~900 周辺)であれば、数ヶ月勉強しなおせば、何とか年単位の学習負荷を回避しながら、要件クリアできるだろうと見込んで、その辺りのハードルも含めて調査をしていた、ということを社会人 MBA のススメ ③どの大学院を選択したのか?でも述べました。
そこに来て、TOEIC 700 点で米国大学院の入学要件を満たすというのは、黄金の人参をぶら下げられてしまった形になります。 (何度も言うけど、なにこれ?完全に Abitus のマーケティングターゲットにされてしまっているではありませんか笑。)
半年から1年程度の英語勉強期間を覚悟していたところに、数日の復習(最新の TOEIC の問題形式の把握や、過去問対策等が必要)で、ガチ勢に及ばない私程度の英語力でも何とかなる、と期待できる水準の英語スコア要件。
社会人 MBA のススメ ③どの大学院を選択したのか?でも述べたように、「The Pennsylvania State University」や「University of Wisconsin」の、私の能力に対して丁度いい感じの要件を提示する大学院に、後ろ髪を引かれていました。
ところが、当時はもう頭がいっぱいいっぱいで、私が不慣れな経営学を扱う MBA 進学自体が過負荷かもしれない、どうしよう、わー!となっていた当時、もう藁をも掴む思いですがりついた形となったのは否めません。 (あの頃は、社会人博士での国際学会論文や学術論文を 5, 6 本同時並行で執筆していて、転職や引っ越し準備でも疲弊していたころだったので、易きに流れる下地は十分すぎるほど整っていました笑。)
何はともあれ、Abitus から吹き出てくる甘い汁に魅せられたというわけです笑。
経営学の学習を優先できる柔軟な英語スコア要件
更に、仮に入学時に TOEIC 700 を取得していなかったとしても入学が可能という魅力的なオプションも用意されています。
UMass MBA のプログラムは、前半の基礎課程と、後半の上級課程に大別されており、上級課程進学までに TOEIC 700 を取得できれば進級可能という、猶予期間が設けられております。
いわゆる米国における、コミュニティカレッジから大学への編入に似たような格好です。
ですので、当初英語力に自身がないけど経営学を勉強したいという人にとって、本当に学びたい分野のスキルを習得しながら、英語力を磨くという、柔軟な就学スタイルと取ることができます。
GMAT の免除
これは Abitu Umass MBA に限った話では有りません。「The Pennsylvania State University」や「University of Wisconsin」と言った大学院でも提供されている条件ではあるので、その点は申し添えておきます。
とにもかくにも、GMAT 免除というのは、私にとっては極めて魅力的な話でした。
GMAT (GRE の場合もありますが) って、英語圏の人にとっては日本のセンター試験大学院版みたいなものなのでしょうが、非英語圏の人がそれを受けるとなると、とんでもない負荷になります。
数学や推論は、ある程度の単語力が備われば、まだなんとかなります。論理で解決できるからです。
ただ、vocabulary が鬼です。見たことも聞いたこともないような単語がわんさか出てくる。外国人がセンター試験を受けた時に、日本人にとっては日々の生活で馴染みのあるような漢字であっても、異国で独学している彼らにとっては見たこともない漢字がわんさかでてくるようなイメージだと思います。
英単語を構成するパーツの語源から、ある程度意味を推測できるとしても、記憶していなければアウトという世界。しかも、金輪際 GMAT 以外で目にすることのないような謎単語を暗記することに、どうしてもメリットを感じることができませんでした。
TOEFL ですら 93 点しかもっていないのに、GMAT にまで時間を取られたら、間違いなく年単位の英語学習が必須となります。そうじゃなくて。。。というのが、正直なところでした。
その点、私は既に修士号を取得していたので、GMAT が免除されるということで、これまた黄金の人参に食いつく形となりました笑。
まぁ仮に修士号を持っていなかったとしても、就業年数が8年という要件もあったので、そちらでもクリアできたのではありますが。
Abitus の充実したサポート
これの良し悪しは人それぞれだと思うことを、申し添えておきます。
入学手続きから講義の補助資料に至るまで、日本での代理店に相当する Abitus のサポートが厚い。とにかく厚い。
UMass の WEB システムでの手続き方法、履修関連、授業の補助資料、問い合わせ対応、何から何まで、日本の代理店が懇切丁寧に対応してくれるのです。
私個人的な話でしかありませんが、当初はここまで日本人からのサポートを必要とは考えてはおりませんでした。「The Pennsylvania State University」や「University of Wisconsin」では、言うまでもなくそのようなサポートはありえません。Abitus が UMass と提携しているからこそ実現されている、特異な体制であると考えるべきです。
ところが、見れば見るほどよくできている。ベースは英語のカリキュラムでありながら、うまく日本でのサポートを組み合わせることで、確かに効率的に学習を進められる仕組みになっています。
これは、もともと経営や経理に全く無頓着なエンジニアで、種々の制約がある中で就学を決意して不安を抱えていた私にとって、とてつもない安心感を与えてくれてしまったわけです。就学中に仕事や家庭の事情で何かイレギュラーな事態が起きても、絶対何とかなる。間違いない。
そう確信するに至りました。
安価な学費
Abitus によるこれほどの手厚いサポートがついていながら、学費はいずれも州立大学である「The Pennsylvania State University」の半額、そして「University of Wisconsin」と同等。や、安い。。。
一体何が起きているんだ笑。
下記の「Best Online MBA Programs」のランキングサイトを確認しても、Enrollment に対する Tuition が、圧倒的に安い。そしてランキング自体も 22位。トップとは言えないが、決して悪くもない。そもそも英語能力のない私にとってそんなことは関係ない笑。
AACSB 認証も受けていることから、教育カリキュラム自体の品質は担保されているわけです。
もう一度言おう。一体何が起きているんだ笑。
逆に考えれば、世間の MBA Program の学費が、純粋な学習コンテンツの価値に対して、随分と値上がりしているとしか思えません。
おそらくランキング上位の MBA においては、大学のブランドや、転職市場におけるプレゼンスの向上、トップレベル人材とのネットワーキングと言った、無形資産的な意味合いでの付加価値に対して、高額な学費が要求されているのではないかと思います。
そう考えると、Abitus + UMass MBA プログラムについては、純粋に学びたいと思っている経営学というコンテンツを取得するために支払うコストとしては、上々なパフォーマンスであると解釈できます。
本当、うまくマーケティングしたものだと思います笑。
現地キャンパスでの単位取得
単位の一部を、現地のサマースクールや冬休みにおける講義で取得することが可能です。
海外で留学生とディスカッションしながら学んでみたいと思っていた私にとって、これは嬉しい利点です。オンラインでのみの受講に物足りなさを感じるような方にとっては、嬉しいオプションと言えるでしょう。
Online プログラムでありながら継続性のあるネットワーキングが可能
海外の大学院進学において、onsite での人的ネットワーキングが魅力の一つとなります。それが online プログラムとなると中々難しいのが現実です。
一方、Abitus を介したプログラムであれば、東京を拠点としたライブ講義もあるので、学生同士のネットワーキングが容易となります。
また、留学生同士のコミュニティがしっかりしている場合ももちろんありますが、卒業後にそれぞれ祖国に戻るため、中々その後 Face to Face でのネットワーキングが難しくなる場合も多々あります。
私は地方なので毎回行くことは難しいかもしれませんが、たまに顔を出すくらいであれば Face to Face でのネットワーキングも可能ですし、日本国内であれば卒業後もその関係を継続することが容易となります。
そういった可能性も含めて、魅力を感じたのも、決定の一助となりました。
デメリット
続いて、できるだけフェアな評価をできるように、デメリットについても述べておきます。
- 大学のブランド力
- サバイバル経験の希薄化
- 英会話によるディスカッション機会の減少
さらに、各デメリットに対して、私がそれを許容すると判断した根拠についても述べました。
大学のブランド力
トップスクール、「The Pennsylvania State University」や「University of Wisconsin」等と比較した場合に、大学のブランド力が弱くなってしまうことは否めません。
UMass にはいくつかキャンパスがありますが、そのキャンパスによってもブランドの強度は異なるようです。
例えば、Armast キャンパスは全米64位と、高評価です。
University of Massachusetts--Amherst - Profile, Rankings and Data | US News Best Colleges
一方、このプログラムで対象としている Lowell キャンパスは全米179位となっており、グローバル転職の際の主張材料としては弱くなる側面を否定することはできないと思います。
University of Massachusetts--Lowell - Profile, Rankings and Data | US News Best Colleges
世界トップレベルのコンサルファームや外資金融業を目指していたり、自身の価値観と照らし合わせた結果、一定程度の学歴が必要な方にとっては、ブランド力というものが重要な要件になる場合があることは、否定できないと思います。
そういう意味で、フェアプレーのために、敢えてデメリットとして挙げさせていただきました。
私個人の事情に対する影響
もちろん、私にとっての MBA 進学の大本の目的が「大学のランキングを追い求めること自体を目的化しないこと」、「得られた技能を現職の経営に活用すること」、「人的ネットワーキング構築すること」等としたことについては、社会人 MBA のススメ ②なぜダブルメジャーでMBAを?で述べたので、私にとってはさして重要な要件ではないと判断しました。
どちらかと言うと、経営や会計のフレームワークや方法論の習得に重きをおいた形です。
少なくとも検討した当時においては、昇進やジョブホッピング転職等は、一切想定しておりませんでした。
よって、私にとっては許容できる要素だと判断しました。
サバイバル経験の希薄化
これはメリットと表裏一体となりますが、人によってはデメリットになりうると考え、こちらに挙げました。
アメリカの大学院に進学する際に、学生が直面し、乗り越える障壁の多くを、Abitus が解決してくれることになります。
アメリカの大学院への一般的な出願の際は、入試にかかる情報や資料の収集、メール連絡による問合せ等を、現地の外国人担当者との直接行わなければなりません。
意外とここに色々な躓きポイントが潜んでおり、それを乗り越える経験もまた、アメリカ大学院進学の醍醐味だったりすると思います。しかも、これは序の口。
入学してからが本当に負荷がかかるもので、教員への問合せや学生とのディスカッションも全て英語で行う必要があります。最初から最後まで、日本語を使うことは許されません。
言葉も中々通じない外国で、慣れない文化や、単位を落とすかもしれない不安と戦いながら、泣きそうになるほどしんどい経験をすることもまた、留学における試練となり、サバイバル能力が身付くことになるでしょう。
そういっためちゃくちゃ厳しい環境で、敢えて自らを成長させたいと思う超ドMな人にとっては、Abitus による手厚いサポートが足かせになると感じる可能性を否定することはできません。
私個人の事情に対する影響
もちろん、私にとってはこのサポートがいざ仕事や家庭で緊急対応が必要となったときのリスクヘッジとして、一種の負荷分散・アウトソーシングの容易化要因として機能すると考えたので、決定に至ったわけです(認知バイアスもまた否定できないのでそう考えることで自らを納得させているのかもしれませんが笑。)。
逆に、そうでもなければ、この条件に載ろうとは思いません。
更に、私自身、過去に身一つでアメリカの大学に交換留学した際に(1年だけですが)、ある程度吐きそうになるサバイバル生活を経験したので笑、元々必須要件からは外していました。
ただ、考え方によってはデメリットになる可能性もあるという意味合いも含め、こちらに上げることと致しました。
英会話によるディスカッション機会の減少
サバイバル経験の希薄化と重複するところではありますが、日本を拠点にして就学・ネットワーク構築することとなるため、外国人との生の交流機会が少なくなることは否めません。
もちろん、online プログラムという特性上、仮に Abitus のサポートがない大学院に就学したとしても、外国人との交流が少なくなることも否めません。
一方で、Abitus の提供するライブキャンパスをハブにしてネットワーキングの構築が始まると、おそらく基本的には日本人同士の交流が主体となることが予想されます。
上級課程になると UMass のシステムで現地の教員と直接やりとりすることになるので、外国人とのコミュニケーションはあると思いますが、Abitus の設定する学習期間と、現地のセメスターの期間にずれが生じるため、協働レポートやプロジェクトはやはり Abitus で就学する人同士でのチームアップとなる可能性が高いと思われます。
英会話というものはスポーツのようなものだと思いますので、こういうサバイバル的なディスカッションを通じて、傷ついたり挫折したりを乗り越えて習得さえるのが一般的です。スポーツのルールやトレーニング方法を本で読むだけでは上達しないのと同様に、机上の勉強は読み書きだけで、リスニングや会話ができるようになるはずがありません。
その点、online プログラムであっても、身一つで米国大学院に就学した場合は、否が応でも外国人とチームを組んでディスカッションや協働レポート作成をすることになるでしょう。
もちろんレポートは英語で書くことになりますが、アメリカ人の発するネイティブスピードの英語や、色々な国からやってきた留学生による訛りの強い英語を聞きながら、こちらも英語で対等に口頭でディスカッションを繰り広げる、といった経験が希薄となる可能性があります。
そういった要因も含め、自分で納得した上で最終決定をする必要があると考えました。
私個人の事情に対する影響
私自身はこの点について、幸いにも、過去にアメリカに留学した経験や、国際学会発表などの経験から、英会話によるディスカッションについてはあまりストレスを感じません。フレームワークや単語さえ習得できれば、いざ英語が必要となる場面に直面したとしても、ある程度の対応は可能だと考えています(もちろん分野特有の慣れが希薄化してしまいますが、そこは前述のメリットが上回ると考え、割り切りました。)。
更に、英語という観点よりディスカッションという観点ではありますが、経営についての協議は考察は、日々の業務の中で、私よりもずっと能力の高い取締役や社員と実施しているという状況にあります(こちらもありがたいことです)。
以上の状況から、少なくとも私にとっては、本節の要件が主たるデメリットにはならないと考えました。
おわりに
以上が、私が Abitus UMass MBA を選択するに辺り考察した、メリットとデメリットです。
メリットについては、社会人 MBA のススメ ③どの大学院を選択したのか?で述べた私個人が設定した要件をどの程度満たしているか or 一般の検討者にとってどのような利点があるかを記述しました。
デメリットについては、一般論として項目を挙げつつ、それらが前述した私個人要件においては必須とされていない項目である or 気になる点があったとしても許容できることを説明しました。
次回は、私が実際に Abitus Umass MBA 出願に際して行った具体的な手続きと、その雰囲気についてご紹介したいと思います。