下記事の続きです。
前回は、社会人 MBA 進学を決意したきっかけを述べました。
今回は、なぜダブルメジャーで MBA 取得を目指すに至ったのか。その理由を述べます。
- なぜダブルメジャーに?
- 一体何をやっているんだ。。。マジで。。。
- 結局技術と経営を両立できる人間が必要
- そもそもスタートアップでキャッシュは死活問題
- MBA という学位の価値とは
- どの大学院に進学する?
なぜダブルメジャーに?
欧米では専門を複数持ったり、マイナーという形で追加的に技能を習得するのが当たり前ですが、日本ではあまり馴染みが無いかもしれません。
この「専門の多角化」には凄まじいポテンシャルが秘められていると、私は確信しています。
まず、専門を多角化できる人の絶対数が少ないから、それだけで希少価値が高まります。
何より、単一の専門分野にのみ特化するよりも、社会貢献できる幅が一気に広まる。多角化することは足し算ではなく、掛け算で効くインパクトがあります。
ただ、メジャーが既に工学なら、経営学はマイナーで良いんじゃないか?と言う見解もあるかと思います。
そこを敢えてダブルメジャーにしたのはなぜか?ちょっと呟こうと思います。
技術だけでいいの?
ロボット工学分野のプロフェッショナルは世界に沢山おりまして、私なんか彼ら彼女らの足元にも及びません。就業キャリアはゼロですし笑。
ただ、技術のプロフェッショナルが、経営までできるとは限りません。前職で様々な人と会話をする中で、それを感じる機会は沢山ありました。
自分の作りたいものがある、興味のあるものが尖っている、技術へのこだわりが強い、新しいことへの好奇心がある、世界ナンバーワンのスペックへの追求心がある。そういうものはエンジニアにとって必要な気質です。私も人のこと言えません笑。
ただ、そういう思い「のみ」によって作られたものが、社会の役に立つのか?要は「売れるのか?」と問われたときに、職人気質が強すぎるとうまく返すことができない場合が散見されました。
非論理的な説明でうやむやに。。。え?じゃあなんで作ったの?となるのですが、やっぱり質問に答えられていない。せめて、ここに論理的な筋書きがあれば納得できようものですが、それも無しにただ新しさやスペック重視で闇雲に作っては売れないを繰り返す。
作れば売れる時代が終わってしまった状況で、この気質だけで食っていくのは難しいだろうと感じていました。
経営だけでいいの?
もちろん、経営のプロフェッショナルも世界中に大勢おられ、日々この凄まじい市場で戦いを繰り広げています。
そんなすごい経営者と直接会話ができる機会はさすがにありませんが、少なくとも前職で経営企画の方たちとお話していて気がついたことがあります。
そういう部署に配属される方々は、技術を専門としたキャリアや経験がない場合が多いようでした。それが良いとか悪いとかではなく、そうなるのは当然だと思いますが。
ただ、メーカでの経営となりますと、どうしたって技術を起点とした議論は必須でしょう。技術こそが会社の屋台骨ですから。
しかし、中々技術部門と企画部門の間でコミュニケーションをするのは容易ではありません。何か、得てして論点がずれていくように感じてしまいます。
そのため、新規事業企画のストーリーメイキングや、その承認プロセス、意思決定には尋常ではない時間がかかります。
そして、めちゃくちゃ時間をかけて資料作りと調整をしても、よく分からないまま稟議が空中分解していたり、発起人に通達されること無く気がついたら却下されていたりと、素人目に見ても筋の通っていないことが起きてしまう場面も目にしたことがあります。
一体何をやっているんだ。。。マジで。。。
貴重な経営資源を使って、こんなことをしていていいのでしょうか。。。既存製品のコストカット以前にやりべきことがあるのではないでしょうか。。。
そして悟りました。技術と経営は、切り分けてはいけないのです。
これらは両立できないと、今の時代ではもはやモノづくりビジネス自体が成立しないんです。。。ちょっと油断するとすぐに真似されて価格競争化してしまいます。
こんな経営環境において、今までと同じやり方をしていたのでは、とても生き残っていくことはできません。
それなのに、
- 現場の技術者が、既存製品のコストカット or スペック重視の売れない誰得新製品開発で疲弊している傍ら
- 経営層が、密室で付加価値の産まない超長時間会議 or 出世欲と自己保身と派閥争いに満ちた社内政治に明け暮れる
とまぁ、色々な意味で目線が違いすぎると感じさせられる事象が起こりすぎています。
その政治に、未来ある若手の人事とキャリアも振り回される。
一体何をやっているんだ。。。マジで。。。
結局技術と経営を両立できる人間が必要
良いものを作れば売れる、トレンドに乗っかれば儲かるなんて、もはやありえません。技術の新規性だけに着目しても、お客様に必要とされていなければ自己満足で終わってしまいます。
とは言え、新技術を無視するわけにはいきません。新しい技術でどんな価値を社会に提供できるのかは、常にウォッチしていなければなりません。
それが見えたとしても、今度はそう簡単に他社が乗り越えられない周到な知財戦略、その技術に対する社会的必然性と訴求力の分析、そしてそのビジョンを達成するための自社独自の高度な技術力、これらが全て同時に備わっていなければビジネスとして成立しないのです。
なんとも頭の疲れる時代になってしまいました ^^;
もちろん、それぞれの専門家がいる事自体は悪くないのですが、少なくとも全体を理解できる人間が仲立ちする必要があるのだと感じているわけです。
セルフマーケティング(?)
そこで私が考えたのがこちら。
これが一つの解かなと。
どちらかと言うと、尖った分野で世界トップにはなれない私程度の中途半端な専門スキルを持つ Ph.D. ホルダーが、経営学で MBA を取得する、が正しい流れですね。 技術とビジネスの両面から考察し、メーカ経営の意思決定ができる。
これこそが「求められてはいるけど見つからない!」的な、ちょうどスポッとはまるセグメントではないかと、思ったわけです。
セルフマーケティング。。。?素人の。。。笑
そもそもスタートアップでキャッシュは死活問題
創業間もないベンチャーでキャッシュは死活問題です。売上が立っていない以上、お金は外から取ってこないといけないのです。ベンチャーキャピタルや銀行等に説明するときも、説得力のある論理構築が必要です。
マーケティングってどうやるの?笑。いやまじで。。。
スタートアップの人間がいつまでもこんな事を言っていたら、お荷物になってしまいます。
逆に言えば、先方はMBA等で習得する技能をベースに議論を構築するので、こちらもそのフレームワークを知っていれば相手が求めている情報を把握しやすくなり、コミュニケーションも円滑になるでしょう。
それは、資金調達というスタートアップの血液補給に直結します。明日生きるか死ぬかというお話をしているわけです。「セカンド」とは言え、大事だと思う理由はここにあります。
財務諸表も読めません笑。ある経済活動がバランスシートにどのような変化をもたらし、それが経営にどう影響するのか、分析する術を知りません。これでどうやって自社の経営状態を把握しろと笑。
もう、ある意味ダブルメジャーというのは、必然だったんです。
MBA という学位の価値とは
少し脱線に思われてしまうかもしれませんが、私が学位の取得を検討する際に気をつけて考えている点を、述べておこうと思います。
本当にその学位取得が、自分にとって取り組む価値があるものなのか?と。
学位とは「箔付けの道具」ではない
私は、社会人博士や MBA に進学しているので、学位コレクターのように思われるかもしれませんが、どちらかというと逆の立場です。
単なる学位「だけ」の価値に対しては、私は懐疑的な人間です。
学位取得の過程を通じて技能の習得を行える環境が教育機関であり、その最高峰が大学院です。
その結果として、証明書としての「学位」が付与されるのであって、その取得自体が目的化することは本質ではないと考えています。
学位があると泊は付くでしょうが、それを不用意にちらつかせたり、見せびらかすようなことをしてはいけないと、肝に銘じています。
もちろん、対外的に他者と対等に議論できることを示す必要があったり、逆に心理的にマウントを取られたりしないようにするために、そういった議論に参画するパスポートや入構許可証的な意味合いで学位の切符を引き出さざるを得ないことはあるでしょう。
一方、意味もなくわざわざ自分から学位をひけらかすのはあまり褒められた行為ではない、という意味合いを示したかったのです。
「学位即年収アップ」ではない
ですから、博士を持っているから即キャリアに直結するとか、MBA を持っているから即出世 or 転職して年収アップするとか、そういう類の価値もあまり見出していません。
そういう直線的なキャリアアップの不可能性について、十分目にしてきましたし、私もこの身を持って経験しました。特に日本社会は、そんな単純にことが運ぶように構成されていません。
結局年収は、少なくとも大手メーカ技術者においては、個人のスキルや学歴よりも、年齢 / 入社年度 / 業種(+単に入社時の配属の運)との相関関係が強い傾向があるので、下手な期待で落ち込まないマインドセットだけは身についています笑。
本質は「社会貢献」
もちろん、対外的な自己紹介の際に、客観的なエビデンスに基づいて自身の技能を主張する上で、そのわかり易さという点で学位に優位性はありますが、それは本質ではないと考えています。
突き詰めていくと、これに行き着きます。
要は、得られた技能を活かして何らかの社会貢献をした結果として、その貢献度にふさわしいと周りからも承認されるに値するポジションや年収といったものが、後からついてくると言うのが筋だと思います。(筋通りことが運ばないのもまた真なのですが。。。)
実際、そのような形でキャリアアップしている人とお話すると、はやり本質的に優れた人格と並外れた技能を持たれています。理不尽な状況を不断の努力で乗り越えて、自らその筋を通すまでに至った方々の貫禄は、やはり凄まじいものがあります。
まぁかく言う私はぶっちゃけできた人間では全くなく、キレイ事ばかりで進学しているとも言えません。単純に知的欲求を満たしたいとか、昔海外の大学院で学位取りたかったなぁというミーハー的な心情もあるので、あまり偉そうなことは言えないのです、これが (^O^;)
人的ネットワーキング
あと、大切なのは人との交流、ネットワーキングだと思います。様々な思いやキャリアのある方々と知り合えるチャンスがあります。
私は根暗で人見知りなのであまり表立って話せるタイプではありませんし笑、そもそも狙っているのはオンライン系のカリキュラム。その上、昨今の新型コロナウィルスの影響で、中々ネットワーキングが容易にできないという事情もあります。
うー、まぁ仕方がないのですが、うまく人と交流できるように、頑張ろうと思います。(気質的にも笑)
どの大学院に進学する?
ここまで理由付けができてくると、あとはどこを受けようかなと言う話になってきます。
今回もそろそろ長くなってきましたので、その辺りの話はまた時間のエントリでしようと思います!