下記事の続きです。
前回は、ダブルメジャーで MBA を取得するに至った理由を述べました。
今回は、実際どの大学院を選択したのかを説明します。
大学院の選択
ここまでくると、どの大学院を選ぼうかな?というお話です。
スペックのおさらい。
- 30台前半
- 1児の父(子供は難病持ち)
- 技術系スタートアップの取締役(フルタイムでプレイングマネージャ)
- 社会人博士学生(専門はロボット)
- 在宅リモートワーカ(家庭の事情で地方の実家付近が拠点)
うーん、結構制約強い笑。正直、あまり好き勝手ぶらつけるような状況ではありません。社会人博士の仕上げも残っているし、仕事もそれなりです。
選定要件の概要
私の場合は以下の要件がマストで、それが可能となる大学院を絞るというものでした。
- アメリカの大学院(要件というより、夢笑)
- 働きながら就学可能
- 居住地を変えずにオンラインで就学可能
- 長期履修が可能
- 英語学習(特にTOEFL)の負荷が小さい
- 学費がリーズナブル
うん、わがままですね笑。特に最初の要件ミーハーですねぇ笑。
夢と現実の狭間
一方で、家庭の事情があって、譲れない事情もあります。夢だけではなく、現実を見据えるのも、所帯を持つ人間の責任となってきます。
難病持ちの子供の治療はどうしたって必要で、家族の支援なしに生きていくのはかなりしんどいです。実家のある地域は地方で、私のスキルを活かせるメーカなんて存在ない地域。エンジニアで生きていくならリモートワークが前提となるような制約があります。これが私の置かれた現実で、そう簡単に変えようが有りません。特に子供が患った重い病気は絶対に変わらないもので完治はせず、一生付き合わねばなりません。
とは言え、家庭の事情を言い訳に、夢や希望を諦めたくはありません。そんな人生を送りたくはない!世帯主としての社会的責任を果たしながら、自分の夢に少しでも近づく人生を歩みたい!
認めます。私は大した能力を備えた人間では有りません。世界トップレベルのコンサルファームや外資系金融業を目指すと言った水準を目指す器もありません。そういう方たちの足元にも及びません。及ぶなら、黙って TOEFL 100 を取ればいいだけの話なのですから。スコアという客観的指標で、残酷に突きつけられてしまっています。。。
そんな、TOEIC 910、TOEFL 93 程度の英語力しか無い、ガチのアメリカ大学院進学組が目指すレベルには及ばない中途半端な語学力のエンジニアが、セカンドメジャーとして経営手法を習得するための MBA 進学という、意識低い系の人間が目指す進学戦略を立案しなければなりません。
それに加えて、家庭の事情も勘案した上で、現実的な要件定義をするわけです。
そういう前提のもとで定義した各要件について、以下でもう少し深堀りします。
選定要件の深堀り
ここでは、そんな意識低い系が定義した要件を示します。
アメリカの大学院
- もともとアメリカの大学院で学位を取りたいという夢がありました(ことこの点については、ミーハーです笑)
- 家の事情で長期的に在宅ワークができるように、リモートが普及している欧米諸国の会社でもキャリア構築を可能とするためのリスクヘッジをかけると言う狙いもあります。
- そこまで考慮すると、ロボット工学の分野なら日本国内での Ph.D. でも引けを取りませんが(先人のご尽力の賜物)、日本版 MBA ではまだ国際的訴求力に乏しいようでした。
- 自らの夢の方向とも合わせる意味で、海外大学院を希望しました。
働きながら就学可能
- そもそもフルタイムで働いているし、難病持ちの子供もおり、実家の支援を無視できる状況ではありません。
- 収入をカットしてまで、しかも病気持ちの子供を連れて今の住まいを離れることは、非現実的です。
居住地を変えずにオンラインで就学可能
- 前述の理由で場所の制約が強いと言う事情があります。
- 欲を言えば本当は海外でオンサイト、英語でバリバリディスカッションが理想的だっのですが、そんな贅沢まで言っていられる身分ではありません。
長期履修が可能
- 働きながらの就学には様々なリスクが付き物です。
- 社会人博士課程就学中には、子供の出産、病気の治療、休職、引越し、色々と突発的な事象に出会したこともあり、通常3年のところ、結局5年間の就学となっています。
- そんな時に役立ったのが、追加費用なしで就学年数を延長できる、長期履修制度です。
- 家庭の事情は無視できないので、今回も就学中に予想外のトラブルが起きても対応できるよう、長期履修が可能であることを要件としました。
- まぁ、アメリカの大学は基本的に在学年数の規定は緩く、基本的には要件を満たすものと想定します。
英語学習(TOEFL と GMAT)の負荷が小さい
- アメリカ大学院に行こうと思えば TOEFL 100 は必要と言われます。
- 10年前ですが、私は TOEIC は 910、TOEFL は iBT 93 を取得した程度の英語力。
- TOEIC 910 なんて恥ずかしくなるほど TOEFL は厳しい試験なので、自分の能力不足が情けなくて辛い。。。
- 長いブランクの挽回も含め、TOEFL で 100 を取るには相当な勉強が必要になることが目に見えています。
- しかも留学生側も対策が進んでいるため、試験がどんどん難化しているという噂もあります。信じられません。。。
- ひとえに私の力不足でありますが、就学前の学生時代ならまだしも、スタートアップ取締役となり、博士課程を両立しながら、英語の勉強のためにそこまで腰を据えている余裕は無いと判断しました。
- その時間を仕事と経営学の習得にあてがいたいのです。
- 要領良く英語の試験で高得点を取れるほど、器用でもなければ、賢くもないことは、自分で良く分かっていましたので。
- GMAT も然り。大学によっては既に院卒だったり社会人経験があれば免除される場合もあるみたいで、そのコースを狙うことにしました。
- 英語の試験が必要になるのは受け入れるとしても、大体手段がある環境を探すことにしました。
学費がリーズナブル
- 色々憧れはありますが、学位取得にウン千万もかけられるほど経済的な余裕はありません汗。
改めて振り返ると、妥協しているとは言え、どれもこれも贅沢なこと言ってるなぁと思います笑。
が、これで行くと決めたのです!とにもかくにも、この条件で行ける大学院を探すのです!
調べた大学
トップスクール系
Distant で検索すると、意外とオンラインでビジネス系の学位が取れるプログラムがちょいちょいあるようです。
ただ、100% オンラインは流石に少ないです。当然です。受講者が不特定多数化しやすいオンラインで安易に学位を出してしまっては、卒業生の質やブランドに影響しますからね。
Harvard University
MBA ではありませんが、 Master of Liberal Arts in The Management Field という学位が付与されるらしいです。
何回かちょろっと現地で受講が必要みたいですが、サマースクールとかでさらっと済ませることになるでしょう。
基本遠隔でいい、学費も安い。悪くない。
Extension とは言え Harvard。こんなうまい話あるのかと思ったその時!
- TOEFL Minimal Approval Score: 100
TOEFL 100 が最低限の要件です。よって能力不足の私は潔く身を引きます笑。
業務両立 | オンライン | TOEFL 負荷 | 学費 | 長期履修 | ブランド |
---|---|---|---|---|---|
○ | ○ | X | ○ | ? | ○ |
Carnegie Mellon University
カーネギーメロンはオンラインで MBA 学位までいけます。 ランキングも1位。質は半端なく良いのでしょう。
https://www.cmu.edu/tepper/programs/mba/program-options/part-time-online-hybrid/ そして英語要件。
- TOEFL: 102
https://www.cmu.edu/pre-college/admission/international-applicants.html
さすがCMU。さぁ、退却です笑。
業務両立 | オンライン | TOEFL 負荷 | 学費 | 長期履修 | ブランド |
---|---|---|---|---|---|
○ | ○ | X | X | ○ | ○ |
Warwick Business School
イギリスのワーウィックビジネススクールはオンラインで定評があるようです。
TOEFL 100。更にGMAT 600。次元が違います。
業務両立 | オンライン | TOEFL 負荷 | 学費 | 長期履修 | ブランド |
---|---|---|---|---|---|
○ | ○ | X | ○ | ? | ○ |
さぁ、そろそろ悟ります。
トップスクールは断念
他にも色々探しましたが、トップスクールでTOEFL 100 相当を回避することは不可能そうです。
そもそもあれですね、私の提示した意識低い系の要件を考慮すると、ハナからトップスクールでの MBA は諦めるべきです。
分かる人が聞くとチクチク言うでしょうが、自らの能力水準を素直に認め、気にせず我が道を行くのみです!笑
アメリカ大学院にオンラインで受けたいなどというときに、TOEFL 100 を回避したいなどというとびきりのわがままが要件に入っている以上、そこをちゃんと割り切るのも意思決定。況や GMAT をや、です。
目的は学びを社会に活かすこと。キャリアに箔をつけることではありません。
そこを受け入れた上での社会人 MBA なのですから、軸をぶらさず、自分の脳力に適合した場所を探すしか有りません。
中堅系
トップスクールでなければ、道は見えるはず。オンラインもちょこちょこ見当たります。
下記のサイトを眺めて検討。
The Pennsylvania State University
トップスクールとの差別化のために中堅と言う区分にしてはいるものの、アメリカ東海岸の州立大学ではかなりの名門です。 ここにオンラインのプログラムが有りました。
TOEFL が 80 で良い。この点数ならすぐ取れる。私は修士卒で、GMAT Waiver が可能。AACSB 認証もある。
交換留学したことがある大学で、馴染みもある。
これは候補としてかなりいい。
ただ学費が惜しかった。 $6,000 する模様。
あと、長期履修が見えない。学費が気になりますが、ちょっと保留にして必要だったら聞くことに。
業務両立 | オンライン | TOEFL 負荷 | 学費 | 長期履修 | ブランド |
---|---|---|---|---|---|
○ | ○ | ○ | △ | ○ | △ |
University of Wisconsin
トップ系のスクールから見ると一歩下がるとは言えど、ここも世界的に見ても相当レベルの高い大学です。オンラインのプログラムも有ります。
TOEFL は 79。GMAT waiver もある。学費も $2,900 程のよう。AACSB 認証もある。
悪くない。この手の方針が流行っているんですかね。
こちらも長期履修が分かりませんでしたが、同じく保留にして必要だったら聞くことに。
業務両立 | オンライン | TOEFL 負荷 | 学費 | 長期履修 | ブランド |
---|---|---|---|---|---|
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ |
日本の代理店経由
多分私のようなジレンマを持つ日本人がたくさんいるんだと思います。
いい勘所をついてくるプログラムがあります。
University of Massachusetts
オンラインのプログラムが有る大学院です。先述した大学と比較すれば、ブランドは見劣りしてしまうところはありますが、それ以外の部分が充実しています。そこはバランスの問題です。
アビタスという代理店が仲介して、日本経由でアメリカ MBA を取得できるようにしてくれているようです。
英語の要件は…TOEIC 700 …!?TOEFLですらない。それに700点でいい。最大の関門であった英語学習長期化リスクが、一瞬にして解決。( ゚д゚)ポカーン
正直これはかなり好都合。入学準備を最短化できる。これ以上はない。効率的すぎる。もはやチート状態笑。
修士持ちなら GMAT waiver もできる特典もある。
学費も $3,000 程。AACSB 認証もある。
え、なにこれ。
しかも、入試にかかる説明資料や問合せサポートも信じられないほど充実している。
アメリカの大学院ならまぁそうでしょうが、最大5年間在籍可で長期履修要件を満たします。途中単位を取らなくても大丈夫。1科目ずつの受験可能。ある程度余裕を持って就学できそうです。
あら、私のあのわがまま要件を全て満たしてしまいました笑。
業務両立 | オンライン | TOEFL 負荷 | 学費 | 長期履修 | ブランド |
---|---|---|---|---|---|
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | X |
ここまでの調査まとめ
という訳で、ここまでの調査結果を表にまとめてみました。
大学院 | 業務両立 | オンライン | TOEFL 負荷 | 学費 | 長期履修 | ブランド | 総合点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
重み付け | 2 | 2 | 3 | 2 | 2 | 1 | - |
Harvard University (Extention) | ○ | ○ | X | ○ | ○ | ○ | 9 |
Carnegie Mellon University | ○ | ○ | X | X | ○ | ○ | 7 |
Warwick Business School | ○ | ○ | X | ○ | ○ | ○ | 7 |
The Pennsylvania State University | ○ | ○ | △ | △ | ○ | △ | 9 |
University of Wisconsin | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | △ | 10 |
University of Massachusetts | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | X | 11 |
私の就学目的とキャリアプランから勘案し、TOEFL 負荷の重み付けが高く、ブランドの重み付けが小さいことから、University of Massachusetts が妥当だという判断をしました。
アビタスの提供するサポートサービスは、言うまでもなく他のアメリカ大学院ではありえません。極めて特異的な要素であり、University of Massachusetts にしか当てはまり得ないので、敢えて表に入れていません。
University of Wisconsin はマジで捨てがたいというか、むしろとんでもなくコスパの良い選択ではあって、手放すのは惜しいところではあります。
最終決定
最終的には、アビタスを介したサポートによる負荷低減を重視しました。一種のアウトソーシングです。背に腹は変えられません。
もしこのサポートに膨大な追加コストがかかるなら素直にパスしていましたが、サポート込みのUniversity of Massachusetts の学費が、純粋な University of Wisconsin の場合と同等というのも、判断の後押しとなりました。もう $1,000 高かったら、University of Wisconsin だったでしょう。
ブランドと引き換えに得られる利点が大きかったということです。少なくとも拒否するインセンティブが薄いです。どんだけ元の学費が安いんだ笑。(それとも、MBA の学費が全体的に高騰しているのか。。。)
もちろん、上記に示した以外のメリットやデメリットも勘案した上での最終決定なので、そこも示しておく必要はあるかと思います。
その辺りの論考は、次回の記事で述べることにします!